No.69【 初期教育の質がその後の成長を大きく左右する】
2020.10.21
コロナの影響で、恒例の4月新入社員クラスを中止にした。
「毎年、新入社員はお願いしているから、できれば今年も。」
とのお客様からのご要望で、10月基礎クラスを「青年社員クラス」に変更して開催したのだった。
◆私の心がヘロヘロに・・・
コロナ他、様々な事情があって、2社5名の少ないクラスになった。
いずれも、今年の春入社の男性4名、女性1名。
この数年の中でも、最も難しく、最も工夫したクラスになった。
それは・・・幼稚な小学生を相手にしているようで・・・。
以下は、今回の参加者を通じて感じた(教えられた)若い方の傾向である。
1)常識的な日本語が通じない、中学2年生程度の教科の知識でさえ?
今後の社会の大変化を説明するために、日本の歴史(戦国時代、明治維新、
日本の敗戦・・・)の話をしても、ほとんど知らない。
(明治維新は知っている、坂本竜馬は聞いたことがある、しかし、それが
歴史上、どんな意味を持つか?何をした人なのかは理解していない。)
まさに暗記だけのテストで点を取るためだけの勉強。
思わず、言った。
「まず、小学6年生までの教科、できれば、中学2~3年生までの5教科と
家庭科」までをもう一度勉強しないと、本や新聞を読んでも、意味がわから
ないよ」
2)新聞など読んだことがない。世の中の常識、社会の話題などを話せない。
したがって、With コロナの大変革期が今後どうなるか?
日本や、世界の政治経済での主要な出来ごとも知らない。
そういったことが視野になく、日々の勉強もしていない。
5人中、2人は、営業職。しかも、既に担当のお客様を持っているという。
「一体、お客様とどんな世間話、雑談をしながら、商談に入っているの?」
3)もちろん、読書の習慣など皆無。
申込書の「愛読書」欄には、推理小説、ミステリー小説など娯楽ものが書いて
ある。
「愛読書」とは、生きる指針や支えになる、自分の価値観を見直せるようなもの
を言うのだけれど・・・そもそも「愛読書」=「ただ好きな本、最近読んだ本」
って思ってる?
4)漢字を知らない、書けない、中には、ミミズが這ったような文字で社長宛の
レポートを書く人も。
一体、学生時代、どんな勉強をしてきたの?!
大学も、よくこんな低次元の人を卒業させたものだ・・・。
5人中、2人が南山大学卒。
南山大と言えば、東海地区では、私学の雄の一つ。
その中の、Aさんは、外国語学部ドイツ語専攻での卒業。
「ドイツ語のヒヤリングはできる、スピーキングは?」
Aさん:「できません。」(間髪入れず、平然と)
私:「・・・。」
他の4人を含めて、簡単な英文を読ませても、「日本語のカタカナ発音」その
もの。
「ディス イズ ア ペン」
5)挨拶、美しい立礼や立ち居振る舞い、「ハイ」の返事、3S(整理・整頓・
清掃)
トイレなどの履物をそろえることetc・・・。
入社半年になるのに、企業人としての基本がほとんど身についていない。
(知らない?)
第1日から第3日の午前中までは、「企業人として」のカリキュラムより、
本来、中学生頃までに親が躾けるべき「人としての基本」をやらざるを得な
かった。
6)教わる受け身に慣れていて、自分の意見や考え方がない?主張できない。
自分の頭で考える習慣はほとんどないとしか思えない。
ロジカルシンキングなど、高すぎるハードルで、DMP討論をやる以前の問題。
7)私が言力を出して、厳しく注意しただけで、ビックリしてフリーズしてしまう
反応。
8)給料&賞与はもらってあたりまえ。
支給日がきたら、もらえるものと思っている。
本来は、プロとして、自分が生み出した負荷価値観に対して、頂くものだが、
自分が周囲やお客様にどんな付加価値提供ができているか?を考えたことが
ない。
入社半年は、会社で研修してもらい、先輩に指導の時間と手間を取らせ、
赤字社員なのに、迷惑をかけている存在なのに。
そんなことは考えない。
権利は受け取るが、自分の責任や義務については、考えない。
9)素直そうで、真面目だけど、ただそれだけ。
「素直そう」と言うのは、素直な感じがするが、中には「自分の考え」=
「常識」で、素直に聞いているフリはしているが、「そんなことは・・・」
と心は受け入れていないのがわかる。
10)「いい人生にしたい」「自分を向上させたい」とは思っているが、具体論は
持っていない。
具体論さえ、マニュアルがあると思っている。
頭で考えても、「どんな方法がいいか」の答探しをして、結局行動しない。
その本質は、「失敗を恐れる」「やってもダメな自分を見たくない」
*実際参加者の一人が第2日の気づきのレポートに書いていたことより。
11)働くプロとしての実力も実績もなく、自分を高める努力もしていないのに、
「誰かに見て欲しい、認めて欲しい」承認欲求はかなり強い。
まるで、親の愛情を欲しがって、甘えたり、過度な自己主張をする小学生みたい。
これは、上司(会社)側のことだが、
12)仕事のやり方は教えていても、「基礎の基礎」を教えていない。
ほったらかしと言われても仕方がないレベル。
そもそも、「企業人として」以前の「人としての基本的なあり方」がなっていな
いし、入社半年経過した現在の彼らのレベルから上司から教育・指導を受けて
いないとしか思えない。
◆初期教育の質がその後の成長を大きく左右する
ゴルフのティーショット。
真っ直ぐ飛ばすには、ドライバーのフェイスをボールに並行(直角)にあてること。
その角度が1度ずれていたら、200ヤード先では、右か左に30メートル前後は、
曲がってしまう。
野球で、キャッチボールや下半身を活かした素振りを繰り返し練習しなかったら、
勝てる試合などとてもじゃないけど無理。
家を新築する際、土壌の強化や基礎工事をしっかりしないで、その上に家屋を
建てたら・・・?!
子育て、企業人教育もまた同様。
躾(しつけ)を始めとする「人としてのありよう」、挨拶、返事、3S(整理・
整頓・掃除)、
ホウレンソウ・・・
など、根っこをしっかり張らずして、木は成長しない。
残念なことではあるが・・・・
今の日本の家庭教育、学校教育の現状では、企業が「人としてのありよう、躾」
まで、教育をせざるを得ない。
企業に入って初めてそんな教育を受けることになる、被害者でもある。
経営者&幹部にとっては、そんな初期教育をすることは、社会的要請からくる
責任と義務とも言える。
貴社の初期教育、人間教育の現状は、如何だろうか??
最終日、参加者の色紙には、5人とも、同じメッセージを書かせて頂いた。
「根を養えば、樹は自ず(おのず)から 大木に育つ」