No.57【子は親の後ろ姿を見て育つ】 ~「有難うございます」はムツカシイ!〜
2020.07.15
◆創業記念日にこの3年を振り返っていて、
ふっと思い出したある大先輩経営者の言葉がある。
「いつも、『本日ただいま開店!』の心を忘れちゃいかん!」
「初めてお客様から電話があった時の喜びを忘れちゃいかん。
今日とる電話もその心で!そう自分に言い聞かせるんですよ」
当時、70歳ぐらいの年齢。
20代で建材商社を一人で創業。
その後、幾多の苦労を経て、
北関東圏No1に育てたT会長から伺った話。
よく出会う企業のケース。
創業から会社が軌道に乗るまでは、必死にやる。
どんな小さな仕事でも、真心込めて一生懸命に対応する。
経営者一人だったり、身内のような仲間数名だから、
ブレずにできる。
何より、会社が続くか?の危機感が高い。
しかし、経営が順調に行きだし、客先も社員も増え、
大手のお客様との付き合いが中心になってくると・・・。
創業の頃からお世話になった小さな会社や
売上の小さい仕事はさばくように対応する。
心がこもらない。
むしろ、「こんな小さな仕事を依頼しやがって・・・」
ぐらい思うケースも。
そうして売上があがっていると、
お客様への『(心からの)ありがとうございます』
をつい忘れる。
(こちらが仕事をしてやってるんだ、ぐらいの気持ちになっていたり・・・)
あるいは、「ありがとうございます」と言っているけど、
条件反射的に言っているだけ。
言葉が流れる。
◆A社のことを心配しています
先日、ご縁を頂いて6~7年になるA社にある仕事の依頼をした。
創業の頃から、仕事の依頼をし、また小生も社長の相談に乗らせて頂いたり、
研修のお手伝いをさせて頂き、
その後仕事の発注も何度かさせて頂いた会社。
久しぶりに社長と電話で話をし、その後お目にもかかった。
しかし、その数回のやりとり中、
「〇〇の件、ご依頼下さり、有難うございます。」
とは社長はおっしゃらなかった。
小生は、「〇〇の件、いろいろ担当△△さんにお世話になりまして。」
と申し上げたにも関わらず。
また、最近の組織の状況も聞いてみると
「私は○○しているのに、△△さんが思うように仕事してくれなくて・・・」
「結果、△△さんが会社を辞め、今は・・・・」
他責的な発言が続いた。
A社はこの数年好調な業績をあげ続けている。
業界でも注目されてきた。
これは、推測だが、
若き社長は、おそらく経営者仲間でも一目も二目もおかれる位置にいて、
厳しいことを言われることもほとんどないのでは?
社長が感謝の心を忘れているということは、
社員もお客様や会社の仲間に忘れている可能性が高い。
小生がよく言う『「子は親の後ろ姿を見て育つ」法則』によると
「社長(リーダー)の「言っているように」部下社員(メンバー)は育つ・反応する」のではなく
「社長(リーダー)の「やっているように」部下社員(メンバー)は育つ・反応する」
つまり、メンバーは、社長(リーダー)の本音や本気を嗅覚で感じ取り、
驚くほど、それに反応する。
「いいことも 悪いことも」
A社は今、たぶん社内でも
「感謝と思いやり、ごめんなさい」のコミュニケーションが
不足しているだろうな~と感じた。
従って、組織の運営も、人のマネジメントもなんらかの問題が
発生している。(に違いない?)
それは、恐ろしいほど、お客様に伝わる。
厳しい環境になった時に、
「感謝と思いやり、ごめんなさい」のコミュニケーションが
できない組織は、もろくも崩れていく。
そんなケースを多く見てきた。
このところA社のことが気になって仕方がない・・・。