No.7【人材育成法~習得と体得~】
2018.09.12
今回は、中小企業の経営者や大手・中堅クラスの教育担当者から
よく頂く相談の事例から。
その一つに「教育しているのに、なかなか人が育たない」
というものがある。
教育計画もある。カリキュラムもある。テキストも整備した。
「それなりに計画的に教育をしているのに・・・」
こうしたケースの真因の一つは、
教育を、「知識やスキルを教えること」の領域だけで行いがちであるケースが多い。
つまり、「教育=習得(修得)させること」とだけ捉えているからである。
今の日本の公教育も企業内教育も、知識(習得)教育に傾き過ぎていて、
実践レベルで活躍できる本物の人材を十分に育てられていないと感じている。
◆体得の大切さ
知識の習得だけでは、実践には十分役立たないことは、
以下の問いでおわかり頂けるだろう。
Q1) 子供(部下)は、親(上司)が言ったら(教えたら)、
そのまま行動するだろうか?まして、習慣化できるだろうか?
Q2) ゴルフや野球・・・スポーツで上達のワンポイントアドバイスを受けたり、
理論の本を読んだら、そのようにプレーできるだろうか?
Q3)読書などで学んだことが、どれだけ日常の行動に活かせているだろうか?
Q4) 若い頃にやったスキーに何十年ぶりに行った。
数本練習したら、それなりに滑れてしまった。なぜだろうか?
◆習得教育と体得教育とのバランスが重要
習得とは、知識やスキルを習うこと。
体得とは、身体で身につけ、習慣化(身体化)すること
効果的に体得するためにには、知識、理論(そうする目的や理由)は、
不可欠である。だから、知識教育が重要であることはもちろんである。
しかし、教育は、実践レベルで活かされないと意味がない。
だから、最終的には、如何に体得(行動レベルの習慣化)させるかに
ポイントがある。
「習得したものは忘れやすい。体得したものは忘れない。」
教育に携わる者は、このことを念頭に教育のしかたを考える必要がある。
◆体得させるための指導ステップ
トヨタをはじめ、効果的な人材育成(特に現場の実践レベル)を行っている企業には
次のようなステップで人材を育てる仕組みがあり、
また実践で部下を育てられるリーダーがいる。
1)知識を教える(目的や理由を含めて)
*ポイントのみを伝えて教えすぎない
→2)実践させる
→3)やってみての教訓を整理し、言わせる
→4)3)に注意しながら、また実践させる
→5)カンコツなど、気づいたことを言わせる
→6)任せ、一人でやらせ、習熟レベルをあげる
→7)後輩(部下)に教えさせる
結局、「反復練習=訓練するしかない」ってことになる。
弊社が4泊5日の宿泊研修をメインにし、DMPセミナーや研修でなく、
今も正式には「DMP訓練」と謳っている理由もここにある。
習慣化=体得には、時間と繰り返しの刺激が不可欠だからである。
貴社の人材育成、あなたの部下育成をこの視点から、見直してみては、
如何でしょうか?
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