No.100【 モデリング能力の高い人は成長する ~石垣随想その2~ 】
2021.07.28
◆酔拳、恐るべし
先日、藤村さんとゴルフを楽しんだ。彼は、私と共に早矢仕塾の講師を担当してくれている。
トライアスロンの元プロ選手で、しかも全日本代表クラスのアスリートだった人。小生のトレーニングコーチである。
この石垣での心筋梗塞事件で、命が助かり、後遺症が何も残らなかったのも彼のおかげ。
主治医いわく「早矢仕さんが無事でしかも早く回復したのは、マラソンなどでインナーマッスルや下半身を鍛えていた為ですよ。」
この藤村さん、お酒が大好き。スタート前クラブハウスでまず中ジョッキ。
プレー中も彼用に私が持参したビールのロング缶を2~3ホールごとに1本。
小生がビールを持参したのは、数週間前、お客さまとゴルフに彼が行った際、
「酔拳効果で、パーが取れました」と言っていたからだった。
元アスリートらしく、豪快なティーショット。ドライバーはキャリーで300ヤード。パー4のホールで1打目がグリーン近くなんてホールがいくつかあった。
体幹のねじりで飛ばす。その軸がぶれない。さすが、元プロアスリートである。
スポットで捉えたら半端なく飛ぶ。いつもは数回に1回しか芯で捉えられないそうだが、この日は違った。
昼食の席でも、ビールの大ジョッキをあけ、その後焼酎をロックで美味しそうに。
「酔拳」と言うものの、正直、午後からは大崩れすると思っていた。
ところが・・・。
この日の彼は違った。飲めば飲むほど、プレーは冴える。
ほんとに「酔拳?!」
彼本人も好調さに驚いていた。「いつもはあがると120前後なんですけど??」
途中で、「なぜ今日はそんなに絶好調なの?」と聞いた。
「昨夜、オーガスタ優勝の時の松山くんのTV録画を見てイメージトレーニングしてきましたから。」
「上手な人の動きを見ると、なんとなくそれをなぞることは若い頃からできましたし・・・。」
彼の学生の頃。チームメイトは全日本クラスばかり。その中で彼は、むしろ鈍才だったそうだ。
必死でいい選手のカラダの使い方を観察し、マネし、取り込む練習をしたそうだ。
こうした学び方を「モデリング」と言う。
その日、藤村さんは、90台のベストスコアを叩き出した。
「藤村酔拳、恐るべし!」
◆企業人でも
このモデリング能力の高い人は成長する。簡単に言うなら、「マネをする能力」。
成果という結果ではなく、仕事の仕方(プロセス)に目をむける。
電話のしかた、お客様とのコミュニケーションの間合いや内容、効率的な仕事の仕方、段取りの仕方・・・。
先の藤村さんは
「形だけを真似るのではなくそのアクションに至った理由と経緯を考えてその思考を真似る」と言う。
「守破離」の「守」の基本の段階では徹底的に、基本をマネ、自分に取り込む。そんな人は伸びる。伸びない人は、我流で行う。
◆小生の体験からも
皆川さんの下での修行時代。師匠からこう言われた。
「全て私のマネをしろ。立ち居振る舞い、食事の仕方、トイレの作法までだ。」
どこに行くにも師匠の横にピッタリとついて、ひたすら観察し、マネをした。
食事の時には、師匠の対面に座って、ミラーリングするように食べた。
3年経った頃、訓練会場にいらっしゃったK社長から言われた。
「早矢仕くん、最近、動作や話し方が皆川さんそっくりになってきたね~」
その後も、中尾さんはじめ憧れたトップリーダーの方、数名のモデリングを繰り返してきた。
10年を過ぎた頃、どの部分が誰のマネなのか?よくわからなくなり、気づいたらなんとなく自分のスタイルができあがっていた。
◆部下育成でも 主体を教える側から学ぶ側に
「子は親の後ろ姿を見て育つ法則」
「あんな人になりたいと憧れや尊敬を部下が持ってくれたら、育成の80%は終わったようなもの」
などと私がよく言うのは、
「この人のモデリングをしよう」と部下が思ってくれる効果が絶大だからだ。
こちらが「教えよう」でなく、相手が「学びたい」と思うか?
主体を教える側に置くか?学ぶ側に置くか?
この差は、大きい。
今のあなたには、「モデリング」の相手がいますか?
部下から「モデリング」されて大丈夫なような後ろ姿を見せている自信がありますか?
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書いているうちに第149回全英オープンは、モリカワ選手の優勝で幕を閉じた。
以上。