コラム『DMP徒然草』 書籍情報のご案内
DMP徒然草

No.72【青 春 】

2020.11.18

10月に開催した青年社員研修。

 

毎年、新入社員クラス等、若い人のクラスを担当すると

必ず思い出す詩がある。

 

サムエル・ウルマンの「青春」である。

 

私が24歳でDMPの創設者皆川さんの門を叩いた時、

入所して半年ほど立った4月下旬、所長室に呼ばれた。

 

「また、叱られるのか?」と思いつつ部屋に行った。

「まあそこに座れ。」      

「早矢仕、これを読め。」と1冊の本を手渡され。

『「青春」という名の詩ー幻の詩人サムエル・ウルマン』

当時、日経新聞にも書評が載り、ビジネス書でもベストセラーになっていた記憶がある。

 

経営の神様と言われたパナソニックの創業者、松下幸之助氏が座右の銘と

していたことでも有名になった。

 

しばらく、師匠がその本について語った。

 

そして、

「早矢仕、この詩を原文(英語)で暗記しろ。ゴールデンウィーク明けにテストをする!」

 

師匠は、英文学科卒業だけに、発音にもうるさい。

「下手な暗記だけでは、合格するはずがない。。。」

 

その年のGWは、ひたすらこの詩を暗唱する練習をした記憶がある。

 

「Youth is not a time of life ― it is a state of mind ;・・・」

で始めるフレーズ。今でも最初の一節は諳んじている。

 

青年社員クラスの参加者の皆さんを担当していて、

あまりに基礎学力がなく、中学校英語すらわからない人が多く、

なにより、「情熱や強い意志を持たず、失敗を恐れ挑戦しない姿勢」を感じた。

 

そこで、研修第3日に

「明日の夜、各社の社長や皆さんの上司の方が激励に来て下さる。

 その前で、この「青春」を英語で発表してもらう。

 大リーダーを中心に練習しておくように。」

と伝えた。

 

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    「青春」      サムエル・ウルマン(岡田義夫訳)

 

青春とは人生の或る期間を言うのではなく心の様相をいうのだ。

 

優れた創造力、逞しき意志、炎ゆる情熱、

 

怯懦を却ける勇猛心、安易を振り捨てる冒険心、

 

こういう様相を青春と言うのだ。

 

年を重ねただけで人は老いない。

 

理想を失う時に初めて老いがくる。

 

歳月は皮膚のしわを増すが、情熱を失う時に精神はしぼむ。

 

苦悶や、孤疑や、不安、恐怖、失望、

 

こう言うものこそ恰も長年月の如く人を老いさせ、

 

精気ある魂をも芥(あくた)に帰せしめてしまう。

 

年は七十であろうと十六であろうと、その胸中に抱き得るものは何か。

 

曰く「驚異えの愛慕心」、空にきらめく星辰、

 

その輝きにも似たる事物や思想に対する欽仰(きんぎょう)、

 

事に處する剛毅な挑戦、小児の如く求めて止まぬ探求心、

 

人生への歓喜と興味。

 

 人は信念と共に若く 疑惑と共に老ゆる

 

 人は自信と共に若く 恐怖と共に老ゆる

 

 希望ある限り若く  失望と共に老い朽ちる

 

大地より、神より、人より、美と喜悦、勇気と壮大、

 

そして偉大の霊感を受ける限り、人の若さは失われない。

 

これらの霊感が絶え、悲歎の白雪が人の心の奥までも蔽いつくし、

 

皮肉の厚氷がこれを固くとざすに至れば、

 

この時にこそ人は全くに老い

 

神の憐れみを乞うるほかはなくなる。 

 

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師匠に暗記を命じられて以来、35年。

 

若き日の学びの大切さが、いま、しみじみと感じると共に、

この「青春の詩」が、この歳になって身にしみる。

 

 「人は信念と共に若く 疑惑と共に老ゆる

 

  人は自信と共に若く 恐怖と共に老ゆる

 

  希望ある限り若く  失望と共に老い朽ちる」

 

シニア世代の入口、なんて言っている場合じゃない。

 

まだまだ、「青春を楽しめ」と己に聞かせている。

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