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DMP徒然草

No.66【 責任転嫁と慇懃無礼は、大企業病の証(あかし) 】

2020.09.30

「au」の移設担当、「NTTドコモ」のコンサルティングセンター、

「Apple」の修理センターのB店、「SMBC」のパソコンバンクソリューションセンター。

この2ヶ月余りの間に、私の怒りのスイッチを押し、呆れさせた相手先である。

 

共通するのは、

1)いずれも大手(あるいは親会社が大手)。

 

2)「苦労してお客様を獲得したことがない」であろう担当者で、

  待っていたら仕事が入る仕組みの会社。

 

3)如何に自分の責任にせず、面倒な仕事を回避するか?

  を考えているとしか思えない雰囲気を感じさせたこと。

 

である。

 

具体的なケースでお伝えしよう。

 

◆「ドコモコンサルティングセンター」の場合

 

自宅に本社を移した関係で、電話やネット回線の利便性を高め、コストを抑えるため、

ネット回線、固定電話などを「au」から「ドコモ」の回線へ切替する工事などの依頼を行った。

連絡先は、「au」と「ドコモ」の両社。

 

どちらも、酷かった!

 

「NTTドコモ」の「ドコモコンサルティングセンター」(別会社)は、

一言でいうなら、「ひどすぎるにも程がある。笑えてくるほど。」である。

 

移設に関する手続きで、計6回のやりとりを先方との間で行った。

(通常なら、せいぜい2回程度?)

 

そのうち、後半の4回は、質問や工事内容やオプションサービスの確認事項の

電話なのだが、

・既に伝えたことが担当者に伝わっていなくて、同じことの繰り返しの内容

・こちらがお願いしたことが伝わっていなくて、全く同じ要件の電話が3回。

・「どうなっていますか?」の私からの質問に対する確認の返答の電話。

 

先方からの電話では、毎回、本人確認のための、

生年月日、住所、日中連絡のつく電話番号、申し込むオプション内容、

その場合の料金、責任の対象外となる事象の説明、会社側(ドコモ)が責任を

負いかねる事項の説明と承諾、が行われる。これで、毎回5~6分程度の時間がかかる。

 

それから、本題に入るのだが、言葉だけは、ばか丁寧で、

どうでもいいところで「ありがとうございます」が入るから、これまた時間がかかる。

 

毎回、短くて最低30分。ひどいときには約1時間を要した。

 

「前回も全く同じ内容の電話をもらいましたよ。」

 

「この前の担当の○○さんから、引き継ぎはされていないのですか?」

 

「それについては、前回お願いしたことと違っていますが。。。」

 

こんなことを何回先方に言っただろうか?

 

「○○は本日お休みを頂いておりまして・・・」

「○○からは、伝わっておりませんで・・」

「こちらの確認ミスで申し訳ありませんが、再度・・・・」

 

そして、私が指摘をすると、その度「申し訳ありません」の連呼をするだけ。

 

余りに酷すぎるから、

「申し訳ありません、はもう言わないで下さい。

 お詫びの気持ちが伝わってきません。

 

 私からの指摘をブロックして、”これ以上言わないで下さい”

 のための ”申し訳ありません” にしか聞こえません。

 

 心にもない、礼儀正しさを装うことを ”慇懃無礼”と言うのです。

 貴社の対応はまさにそれです!」

 

と言ってしまいました。

 

途中、あまりの酷さに、移設工事受付の窓口に電話して、事情を話し、

 

「多忙な仕事をしている中、仕事の集中力と時間をこれ以上、取られたくないから、

 そちらから、「コンサルティングセンター」に連絡をして、

 最初の依頼事項とオプション内容を確実に伝えてもらえないか?」

と電話したら、

「こちらは移設工事の受付窓口ですから、工事自体については対応しかねます」

との返事。

 

「いやいや、私からの回線移設の依頼を受け付けた責任部署でしょう?

 依頼を受けたと言うのは、移設工事が完了するまでの責任を負う、

 ってことなんじゃないのですか?」

 

「工事は、別会社の担当になっておりまして・・・」

 

「それは、依頼者の私には関係ないです。私は、おたくの部署に依頼をしたのですから、

 なんとかしてくださいよ。あまりに酷いですよ!」

 

「私どもに言われましても・・・工事に関しては、対応しておりませんで・・・

 ”コンサルティングセンター”の担当から連絡をさせますから、お待ち下さい。」

 

「いや、その担当者が話にならないから、そちらに電話をしているのですが・・・!」

それでも、連絡を待て、という対応は変わらず。

(大体、すぐに連絡を取ります、と言われてから半日以上は連絡がこない)

 

5回目ぐらいだったろうか?

 

先方からの電話は、また、これまでに何回も繰り返してきた同じ内容・・・

この頃は、最初の腹立ちが、呆れと諦め、やがて笑える心境に変わり、

以下のように申し上げた。

 

「貴社名は、”ドコモのコンサルティングセンター”ですよね。

 コンサルティングっていうのは、問題解決業ですが、

 貴社は、私に問題ばかりを提供されていませんか?

 

 何を私にコンサルティングして下さっているのですか?

 

 忙しい時期とお伝えしている私に、毎回約30分以上、この前は1時間。

 内容は、お伝えしたことの繰り返し、貴社内で情報共有できていないことを

 私に押しつけ、確認させている。

 私は、貴社から問題解決どころか、問題を発生させられています。

 

 その度、私は時間を取られ、仕事の思考回路を中断させられている。

 

 この無駄な対応にかかる私のアワーレート(時間あたり人件費)は、

 既に10万円を超えています。

 貴社名を、”ドコモ問題提供センター”に変えられたらどうですか?

 

 私は、経営コンサルタントが生業ですが、

 貴社をお客様の目線で診断するなら、トリプルマイナスのレベルですよ。

 この杜撰さは!

 今どき、中小企業でも、こんな低レベルのところは、そうそうないですよ!」

 

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◆基本の不徹底が原因

 

このような対応になってしまう予想される原因は、以下のようなものである。

 

1)お客様との交信記録の要旨が残されていない。

 

2)それが、個人の情報になっており、当事者しかわからない。

  会社の情報として、共有されていない。

 

3)「私の責任じゃありません」的な対応で、責任の所在があいまい。

 

4)お客様の時間を奪うことに鈍感。

 

5)心を感じない、「申し訳ありません」「ありがとうございます」など

  慇懃無礼な言葉が多発される。そのように言えばいいとのマニュアルだけ。

 

6)何より、クレーム対応の鉄則である、お客様の感情に同化する対応など全くない。

  つまり、お客様(この場合は筆者)が迷惑をかけられ、腹を立てていることへの

  共感が全くなく、自分都合のことばかり質問・確認を進めようとし、

  単なる事務処理として対応している。

  (人間相手の心理学的アプローチがされていない)

 

◆「お客様ファースト(顧客第一主義)」とは、言うものの・・・

 

今回の私を怒らせた対応をした、大手企業のいずれもが、理念や方針にそのことを掲げている。

 

しかし、「第一線社員の顧客対応が、その企業の印象、顧客満足度を決定すること」

を上層部は重要視し、「現場の教育」や内部監査など「対応のチェック」を

徹底されているだろうか?

 

「会社が倒産することは、あり得ない。」

「お客はあるもの、待っていたら来る。」

「何件ものうちの1件。如何に早く処理するか?」

何より、

「如何に自分の責任にせず、面倒なことを回避するか?」

 

さて、あなた自身の仕事での対応、あなたの会社では、そのような現象は起きていないだろうか?

 

大手企業だからじゃない。

基本の不徹底、危機感の欠如、1件のお客様を大切にしない・・・など、

このケースを「他山の石」として、活かしてくだされば、幸いである。

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