No.25【泣いて馬謖を切る~必罰できるリーダー】
2019.01.23
◆相談の電話
ある会社の次期社長のAさんから電話を頂いた。
「長年にわたって功績があり、社長からの信頼も厚い役員のNさんが、
会社の営業数値を数年にわたり、改ざんしていたことが発覚しまして・・・
処罰をするべきか否か悩んでいます。
処罰をしたら、Nさんの性格からして辞める可能性もありますし・・・
どうしたら良いでしょうか?」
いくつかの質問を差し上げて、状況をお聴きした上で、次のように申し上げた。
「経営の意思決定に関わることですから、あくまで参考として聞いて下さいね。
私なら、何らかの厳しい処罰をします。
なぜなら、この処罰をないがしろにしたら、
我が社では不正は許される、と他の社員に示すことになるからです。
たとえ、Nさんが貴社を去ることになっても、
他の社員への影響の方が、今後大きいと考えます。」
こうしたケースは、情が絡むだけに、判断に迷うのが通常だろう。
◆「泣いて馬謖(バショク)を切る」
三国志にも出てくるお話。
中国の三国時代、蜀の諸葛孔明は日ごろ重用していた臣下の馬謖が
命令に従わず、魏に大敗したために、泣いて斬首に処したという故事によるもの。
「リーダーが規律を保つためには、たとえ情をかけてきた者であっても、
違反者は厳しく処分する」ことの大切さの例えである。
「ならぬことはならぬ」と情に流されず、厳しい対応をすることが、
組織に責任を持つリーダーのありようだろう。
もちろん、リーダーは、そんな非常な決断をする時、
「そうさせてしまったのは、自分に責任がある」
との内省を忘れてはならないだろう。
後日Aさんに伺ったら、Nさんは役員を降格になったものの、
会社には残られたとのこと。