No.21【スピードを変えると新たな気づきがある】
2018.12.19
◆詩人の谷川俊太郎さんが、初めて新幹線に乗った時の詩
「急ぐ」
こんなに急いでいいのだろうか
田植えする人々の上を
時速2百キロで通りすぎ
私には彼らの手が見えない
心を思いやる暇がない
この速度は早すぎて間が抜けている
苦しみも怒りも不公平も絶望も
すべて流れてゆく風景
こんなに急いでいいのだろうか
私の体は速達小包
私の心は消印された切手
しかもなお間にあわない
急いでも急いでも間にあわない
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◆自分の体験でも
歩いたり、ジョギングをしたりしている時は、
「街中なのに、ここにはきれいなお花が植えてあるんだな~。」
「こんなところに面白そうなお店があるな~。」
「ここが、あの会社の名古屋支店なんだ。」
と車の移動では見落としている情報が入ってくる。
季節の移ろいを風や土・・・自然の香りで感じることも多い。
見える風景によって、自分の心象風景も随分違ってくる。
11月から2回にわたってお届けした「散歩随想」も、
歩く速度を変え、見える風景を変えると、
心に新たな気づきが生まれた体験。
◆驚くほど変化が速い時代だからこそ・・・
そんな時代だからこそ、スピードに翻弄されて、
大切な人の心や自分らしい生き方を見失ってはいけないと思う。
年末年始は、心落ち着くゆっくりとした時間を過ごせる方が多いことでしょう。
行く年を振り返り、来る年に向かって、仕事や生き方など自分の心と向き合い、
ゆったり、のんびり、ボーッとしながら自問する時間を持ちたいものです。