No.146【 鬱っぽい気分からの脱出法(その2) 】
2022.09.07
◆「あるべき論」から「したい気分」へ
カウンセリングの世界では、悩みとは【「あるべき(こうありたい)自分」と「今感じている自分」とのギャップである】、と定義される。
私自身、悩み苦しみ、鬱っぽい気分になった時を自己分析してみると、「自分は〜あるべき」との「自己概念」が強すぎることが、自分の心を縛り、苦しめた原因だったことが多いように思う。
私の場合は・・・。
【ありたい自分】 → 【感じている自分】
・仕事は早く完璧にやらねばならない → 思考がまとまらずミスが増え、仕事が早く進まない
・細かなことも忘れずにやらねばならない → 細かなことを度々忘れる自分
・いい人と思われなくてはいけない → いつもいい人であることに疲れる自分
・DMPをやっている自分は、いつも快活・元気でなければならない → 元気がでない自分
といったようなケースが多かった。
気分が鬱々とした時は、この「自己概念」を緩めて、あるがままの感じている自分を受けとめてみる。
「今は、元気になれないんだ」「今は思考がまとまらないんだ」「弱い自分がいるな〜」と。
そして、できる限り「自己概念」=「〜べき論」の世界のことをやめて、「〜したい気分」優先で行動を選ぶようにした。
例えば、「この仕事早く片付けなくちゃいけないけど、どうしても気分が乗らない・・・」
「何がしたいかな〜?散歩かな?昼寝かな?」
思い切って、その時やりたいことをやってしまった方が、気分が変わって結果気になっていた仕事が片付くなんてことが結構あった。
そのうちに、弱い自分、未熟な自分を受け入れられることが、上手になってきた気がする。
◆自分の人生のストーリー(脚本)の中で今を捉える
今、悩んでいること、苦しんでいることが、自分の長い人生ドラマの中で、どんな場面、どんな意味をもっているのだろうか?と思ってみる。
映画もドラマも、全編が、春の日だまりのような出来事の連続のものではつまらない。
波乱万丈があるストーリーのほうが最後まで楽しめてワクワクする。
雨の日があるから、晴れの日の良さがあるように、冬の厳しさがあるから、春の日差しがうれしいように。
生きていたら、雨が続く日もあるし、冬の厳しさに耐える時期もある。
不安な気持ちになることもある。心が萎える時もある。
悲しい時、寂しい時もある。
それらをなんとか切り抜け、立ち上がり生きてゆく。
そのストーリーの中に、七転び八起きの中に人生のおもしろさ、楽しさがある。
と思ってみては如何だろうか?
◆他者との比較をやめてみる
「あの人より俺の方が頑張っている」「あの人にはかなわない」
このように、人はともすれば他者との比較のうえで自分を評価しがちになる。
他人の顔色や反応が評価のモノサシになっている。
少し誉められると調子に乗ったり、けなされるとガックリくるのは、このせいである。
劣等感の強い人ほど、優越感も強い傾向がある。だから気分の浮き沈みが大きい。
いつも他者との比較を基準にして、自己評価をするからである。それでは、どこまでいっても安心立命の穏やかな境地にはならない。
ここは一つ、自分のモノサシで自分を測ることに挑んではどうだろうか。
「昨日の自分より10cm成長した。これでOK」
「自分の良心に恥じない言動をした。ならばOK」
「今日は自分に負けたけど、時にはそれでもOK」
自分の人生の脚本家も審査員も自分でやってみる。
決して易しいことではないが、少なくとも他者との比較の中で、劣等感や優越感を感じて、不安に生きているよりは、自分らしく、ラクに生きられる。
以上