No.144【 二人の師匠の教え(その3):ダイナミックに生きるために 】
2022.08.24
◆あまり理屈で考えすぎない方がいいよ!
沖縄でTさんが中尾さんと二人でいる時に相談した。
「会社を大きくしたいと思っているんですが、いろいろと学んで、その目的は?・・・なんの為に?
と考えているうちによくわからなくなってきたんです・・・。後づけ的な理由しか思い浮かばなくて・・・。」
中尾さんがTさんに言った。
「今は大きくしたいのだから、してみたらいい。あまり難しく考えないことだよ。」
私なりの解釈を入れると、「理屈や論理」はわかりやすいが、時に嘘も入る。
しかし、「~したい」「~なりたい」という情熱や意志には、嘘はないし、時に「理屈や論理」を凌駕する力を生む。
そして、その体験の結果は、良きにつけ悪しきにつけ、成長への血肉になる。
もちそん、中尾さんはTさんが誠実で、自己抑止もできる人柄であることを前提に助言しているのだが。
◆場の匂い、人の匂いの直感的な嗅覚を大事にせよ
これは「仕事や人づきあいで、大事なことは何ですか?」との質問への中尾さんの回答。
中尾さんの下で一緒にクラスを担当している時、しばしば、「クラスの匂い、参加者の匂いを感じて大切にしろよ~」と言われた。
会社訪問して、初めてその経営者にお目にかかる時も同様だった。
前述の「理屈で考え過ぎない」に通じる教えだろう。
人の言動や態度などの現象は、演じていることもあるし、嘘の反応もある。
しかし、直感的に感じるその場の状況や人が放つオーラのようなものには、真実がある。
「現象に囚われすぎず、直感的な本質把握力を磨け」って教えだろう。
中尾さんも、徳さんも、危険察知能力は、半端ないものがある。
さらに、二人とも賭け事は、セミプロクラスの達人である。賭け事にも、場の流れ、勝負勘のような直感的に感じる力が必要であるという。
経営も人生をかけた壮大なドラマである。特に、大事な局面での直感的判断が、死活を左右することがある。日頃から、そうした力を磨きなさいって教えだろう。
◆極めれば変ず
徳さんが100人規模の経営者だった頃の話をしてくれた。
部下があることをしたいと徳さんに進言してきた。
徳さんは、自分の体験上、うまくいかないことはわかっていたが、止めずにやらせた。
案の定、彼の提案はうまく行かなかった。
徳さん曰く、「成長して欲しかったら、早く失敗させてあげることだよ」
人は失敗から学ぶ生きもの。中途半端な失敗からは、多くを学ばない。
育てるためには、「いい意味で放っておく。失敗体験をさせてあげる。」
振り子の原理と同じ。失敗の振り幅が大きい分だけ、成功への大きな教訓を掴む。
中途半端な体験の方が、たちが悪い。
確かに、中尾さんも私に対して、細々した指導をしたことはなかった。
大胆と言えるほど、放っておいて、失敗させてくれた。そして、私が気づいた時(多くの場合、かなりの時間を要したのだが・・・)、「少しはわかったか?」と笑顔で言った。
部下を大きく失敗させてあげるには、その結果をどのようにでも埋め合わせるだけの実力と器量が上司に必要であることは、もちろんである。
以上