No.142【 二人の師匠の教え(その1):楽しむ 】
2022.07.27
◆変化の幅の大きな時代を生きてきたお二人
中尾さんは昭和21年生まれ。徳さんは昭和20年。団塊の世代のど真ん中の世代。
日本のあちこちが焼け野原になった終戦後、衣食住にも事欠く大変貧しい時代から、
高度経済成長を経て、オイルショック、バブル、リーマンショック、そして現在のIT時代。
激動の日本経済を生き、体感してきた方である。
これほどの変化の幅が大きかった時代は、歴史の中でも、古今なかったといっていいだろう。
小生との関係は、中尾さんは、(株)ディーエムピー時代の社長。28年共に歩み補佐させて頂いた方。尊敬と憧れの人。
徳さんは、その中尾さんの親友で、若き日より公私にわたってご指導頂いた方。
お二人とも70代半ばだが、年齢よりずっと若く見え、何よりお元気。
◆なるようにしかならない
第1の教えは・・・。
「どうせ、明日のことはわからない。今、目の前のことに一生懸命取り組め。あとは、成り行きに任せたらいい。」
今回の安倍元総理の事件をみても、人生、まさに一瞬先は闇。
起こっていない未来のことをあれこれ不安がり、今を虚ろに生きてもしかたない。
中尾さんの近くで経営者の大変さも数々見、共に現実の厳しさと戦ってきた。
どんな時も中尾さんは「なんとかなる!」と明るかった。
C型肝炎で「悪くしたら余命1年かも」と言われ、約1年入院した時でさえそうだった。
6人ぐらいの相部屋の皆さんとワイワイガヤガヤ・・・まるで中尾チームのような明るい病室の雰囲気にしていた。
資金繰りで苦しい時、私が「来月、大丈夫ですかね〜?」と聞く。
「大丈夫!」
「根拠はなんですか?」
「長年の勘!たぶん○○の入金があるから!」
そして、ホントにそうなることが多く、なんとかなってきた。なんとかしてきた。
◆随所三昧
これは、徳さんの処世訓。
『臨済録』にある禅の教えに「随所に主となれ」との教えがある。
「随所三昧」は、それを更に進化させたもの。
「三昧」とは集中する、没頭する、一心不乱にその事をすること。
「随所三昧」は、
「どんな境遇(不遇でも)の時にも、その中に入り込み、味わい、楽しみを発見する。」ということ。
徳さんは、この姿勢を大事に生きてきた。
確かに徳さんは、経営がいい時も、悪い時も、高級なお店での食事の時も、場末の居酒屋でお酒を飲む時も(こちらの方が楽しそう)
・・・いつも基本、楽しそうであった。
良寛さん(江戸時代後期の禅僧)の
「災難にあう時節は、災難にあうがよく候。
死ぬる時節は、死ぬがよく候。
是はこれ、災難をのがるる妙法にて候。」
の教えにも通じるな〜と思う。
◆「これを好む者はこれを楽しむ者に如かず」
好きなこと、楽しいことを一生懸命やっているとなんとかなるし、腕も上達する。
お二人とも仕事師、経営者として、一流の実績をあげてきた。
趣味も、中尾さんは若き頃麻雀のセミプロの腕、徳さんも賭け事はやたら強い。
ゴルフも、お酒や女性とのつきあいもきっと一流(笑)。
論語の
「これを知る者はこれを好む者に如かず。
これを好む者はこれを楽しむ者に如かず。」
との孔子の教えも同様であろう。
MLBのオールスター出場を前に、大谷選手は
「まず自分が思いっきり野球を楽しみたい。その姿を見て、皆さんが楽しんで頂けたらうれしいと思う。」と言っていた。
三浦カズも、イチローも永遠のサッカー小僧、野球小僧の匂いがした。
やはり、「好きこそものの上手なれ」である。
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「なるようにしかならない」「一瞬先は闇」のこの人生・・・。
それを楽しむ・・・シンプルだけど奥深い・・・。できそうで難しい!
師匠の教えの続きは次回で。
以上