コラム『DMP徒然草』 書籍情報のご案内
DMP徒然草

No.141【 4つのワーク 】

2022.07.20

『精神科医が見つけた3つの幸福』(樺沢紫苑著)の中に、

「ライスワーク、ライクワーク、ライフワーク」との考え方が出ていて、「なるほど!」と思った。

小生の解釈を入れて展開すると次のようになる。

 

◆ライスワーク

文字通り、食べるため、生きるための糧を得る目的で働くこと。

この世で働いている人のほとんど(お金の心配のない大金持ち以外)は、この目的は共通だろうが、

ここでは、「ライス」の為だけに働いている人たちのことを言っている。

マズローの欲求5段階説(https://studyhacker.net/maslow-hierarchy)で言えば、第1段階の「生理的欲求」、第2段階の「安全(衣食住に心配がない)欲求」で働いている人になる。

 

◆ライクワーク

仕事そのものが「好き」でやっている。

貧乏でもアルバイトをしながら続けるお笑い芸人やミュージシャンなどの芸能系、陶芸家や音楽家などの美術家系、世界に一つしかない日本刀を打ち上げようとする刀匠などの匠の職人系の人たちなどが、その代表例になるだろう。

そこまで極端でなくても、シンプルに「この仕事が好きで選んでいる人」もまあまあいるだろう。

ただ、生活が苦しくなるとその人たちは、ライスワークに戻ったりもする。

マズローでは、第3段階の「社会的(所属と愛の)欲求」、第4段階の「承認欲求」の段階だろうか?

好きな仕事を通じて、社会の中での自分の存在感を感じているタイプ。

 

◆ライフワーク

Life = 「命・人生」をかけて取り組む価値がある仕事と考え、生涯かけて追求しようとの姿勢で仕事をしている人々。

「私はこの仕事をするために生まれてきた」と感じている人々。いわゆる「天職」タイプ。

マズローで言えば、第5段階の「自己実現欲求」にあたるだろう。

 

◆ソウルワーク

樺沢氏は「3つのワーク」までしか言っていないが、小生はもう一つあると考えている。

「ソウルワーク」だ。

「ライフワーク」=「自己実現系」には、まだ「己のため・・・」と、自分の欲から離れきれないニュアンスがあるように思う。

「ソウルワーク」は、私欲から離れ、己のことは脇において、「世のため、人のため、神仏の心に応えるため」に働いている人。

 

アフガニスタンの復興・民衆のために命をつくした医師の中村哲さん。国連の高等弁務官として世界の貧困問題に立ち向かった緒方貞子さん、古くはインド独立の父・ガンジー、マザー・テレサのような人生を送った方がこの代表事例だろう。

 

あまり知られていないが、マズローは晩年、第5段階「自己実現欲求」の上に、第6段階「自己超越的な自己実現欲求」=「貢献欲求・至高体験の欲求」があると考えていた。

 

 

◆あなたはどのタイプ?そして、あなたの周囲の人は?

今の日本で働いている人々をこの4つのタイプで比率にするなら、感覚的には、

ライスワーク:ライクワーク:ライフワーク:ソウルワーク

=70% : 20% : 10%以下:1~2%

といった感じがしている。

読者の皆さんの感覚ではどうだろうか?

 

もちろん、経営者にもこの4つのタイプがあると考える。

社員のため、お客様のため、世の中のため・・・と言いながらも、本音は「自分が儲けたい」(第2段階)、

「自分が見栄や地位が欲しい」(第4段階)、そして、本当に社員のため、世のためと考えている僧侶のような人(第6段階)も。

 

さて、あなたの働く目的の重点は、「ライスワーク・ライクワーク・ライフワーク・ソウルワーク」のいずれだろうか?

 

◆経営者や部下のいるリーダーは

自分の組織で働いている方はそれぞれにどのタイプだろう?と考えるのも参考になる。

なぜなら、「ライスワーク・ライクワーク・ライフワーク・ソウルワーク」によって、モチベーションをあげるスイッチが違うからだ。

 

◆タイプ別のモチベーションアップのスイッチ

「ライスワーク」の人には、マズローの欲求5段階説の第1段階「生理的欲求」第2段階の「衣食住の安全の欲求」に訴求すれば、モチベーション(動機づけ)アップにつながりやすい。

 

「ライクワーク」の人には、その人が好き・得意な業務をどんどん与え、任せていく、好きな道をもっと学べ、探求できる職場環境を与えることだろう。

 

「ライフワーク」の人には、やりがい感、社会的貢献度を高い仕事をしてもらう。(喜ばれる、お役に立てている実感みたいなもの)

 

◆年収800万円の境目説

「ライフワーク」レベルの人には、収入アップでは、モチベーションにならない。とのデータがある。

収入をあげてモチベーションが高まるのは、800万円までで、それ以上になると、給与や賞与・年収をあげてもそれに比例してモチベーションは高まらない傾向にあるとの調査データである。

そこまでは、馬の鼻先にニンジンのように、収入があがることによって、モチベーションが高くなる人の比率が多いのだそうだ。

複数の各大学やシンクタンクなどが行った調査結果だから、まあ信頼できるデータだろう。

 

◆ソウルワーク

他者がモチベーションアップをとやかく言うレベルにはないだろう。

動機づけは、彼らのインナーボイス(良心や神仏の声)にあるだろうから。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

暑い夏の日々、時には木陰や海辺、クーラーの効いた涼しい部屋で、

自分にとって仕事は何のため?どんな価値をもっている?と哲学する時間をもっては如何だろうか?

 

以上

一覧へ戻る