No.134【 自分の感受性くらい 】
2022.05.25
NHKのクローズアップ現代で、「茨木のり子“個として美しく〜発見された肉声〜」を見た。
(https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4630/)
茨木さんが若き頃に書いた代表作の一つである『自分の感受性くらい』が紹介されていた。
その詩の一文一文が、胸にズンと響いてきた。
茨木のり子は、1926年生まれ、愛知県西尾市で育った詩人。戦争も体験し、その後、高度成長期を含み、戦後の日本社会を見つめ続けながら、生涯詩を書いて過ごした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『自分の感受性くらい』
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
『谷川俊太郎選 茨木のり子詩集』(岩波文庫)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コロナ禍による社会の変化やIoT、AIの進化の中、SNS上の匿名での誹謗中傷に見られるような不寛容さ・・・日本人の心が乾き、いい香りがする大人が減りつつあることを日頃から感じていたせいだろうか?
うまくいかないことを社会や他人などの環境のせいにして、自分を変える努力を怠っている人たちが多いように感じている。
さて、あなたはこの詩から、何を感じ、どんな習慣を変えるだろうか?
以上