No.133【 誠心(まごころ)を尽くす ~Kさんのこと~ 】
2022.05.18
GW中に、親しい友人Kさんの会社からお手紙が届いた。
創業25周年のご挨拶状だった。
ご挨拶状に添えて、「おかげさまで25周年」として、ある有名メーカーS社のつめ切りの写真に次のようなメッセージを添えた、はがきが同封されていた。
『試行錯誤を繰り返し、改良を重ね 職人の手により、
一つ一つ作り上げた一生ものの つめ切りです。
弊社25年のささやかな記念品として
ご用意させて頂きました。
〜ハンドメイドのため制作に時間がかかります。
2022年中に(K社長)本人がお届けさせて頂きます。』
S社のつめ切りは、小生も10年ほど前に知り、それ以来使っている。
長年使っても切れ味が全く変わらず、使いやすい。大変気に入っている逸品。
日本刀に使われていた素材を使い、匠の技で仕上げたものである。
Kさんは、25周年の記念品に、このつめ切りを、お世話になった皆様、
特に創業時にお世話になった方や自分の成長につながるご縁を頂いた方々、そして、過去に我社で共に働いて自分を支えてくれたスタッフに送りたくて、S社に電話で問い合わせた。
ところが・・・「対応できない」との返事。
マスコミで紹介された関係もあり、以前にもまして受注が増え、生産が追いついていない状態。
ましてや、Kさんが依頼したい一丁ずつに会社名を刻印し、まとまった数量を受注するなど、「無理です。」との返事だった。
Kさんは、S社の本社工場がある新潟県の燕市まで足を運んだ。
受注窓口の女性に、「今までお世話になった皆様に感謝の気持ちを伝えたい。なんとか対応して頂けないか?」とお願いをした。
Kさんは、素直にありのままの想いを担当の女性に語った。
「残念ながら無理です」と当初おっしゃった女性は、多忙な生産をこなしている現場の職人を説得してくれた。
結果、「一括で納品はできないが、時間をみてくれるなら、なんとかご希望に応じましょう。」との返事が頂けた。しかも、無理をお願いしたのに、規定通りの割引までして下さるとの話になった。
名古屋から燕市まで、1泊2日の出張になった。
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ご挨拶状の封入の最終チェックもGWに入った休日に自ら行ったと言う。
Kさんのこと、きっと一人ひとりの顔と思い出を脳裏に浮かべながら、最終チェックをしたことだろう。
「モノを届けるのでなく、誠心を届ける。」
Kさんは、25年前たった一人で始めた会社を、そんな心・姿勢を大切に心を込めて仕事をし、守り、発展させてきたのだろう。
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「試行錯誤を繰り返し、改良を重ね 職人の手により、
一つ一つ作り上げた一生ものの つめ切りです。」
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の文言は、「つめ切り」を「我社の業務」にかえたら、そのまま、Kさんの25年の仕事への姿勢・歩み、そして、今からの仕事への決意の宣言でもあるのかな~と感じた。
「感謝をする」とは、「有難うございます。」という言葉を発することに、本質があるのではない。
心のこもっていない、条件反射的な「有難うございます。」も多い昨今である。
その人のために、時間を使い、カラダを使い、手間ひまをかけて、行動で示す。
「それが、誠心を伝える「感謝』のありようだな~、人としての清々しい生き方だな〜」とKさんから、教えて頂いた。
「Kさん、私こそ、長年親しくおつきあいくださり、有難うございます!」
以上