No.127 【 危急存亡の秋に際会するや・・・ 】
2022.03.16
◆ゼレンスキー大統領の肚のすわったリーダーシップ
首都キエフがいつまで陥落を逃れるか?の状況の中、欧州の首脳陣に
ゼレンスキーの国外退去を勧められても、「私は最後まで残って国民と戦う」
と言うゼレンスキー大統領はキエフに留まって指揮している。
(本稿は3/13に書いていますが、配信されるときにキエフは陥落しているかも?)
◆「危急存亡の秋に際会するや、部下は仰いでその将帥に注目する」
旧日本軍陸軍の将官や参謀など、限られた高級将校だけに閲覧を許された「統帥綱領」。
この中に、出てくるのが先の一節。
緊急事態の時ほど、部下は、自分の大将のありようをじっと見る。
自分のリーダーが、「動揺しオロオロしているか?」あるいは、
「泰然自若として肚を据えているか?」を部下はじっと見るとの意味である。
前述のゼレンスキー氏の対応は、「肚のすわり」を国民に示し、
覚悟と勇気を与えたことだろう。
◆企業の経営もまた同じ
経営者やリーダーの強いリーダーシップが必要とされるのは、
好況時ではなく、不況時である。
好況時は、ポンコツリーダーでなければ、誰がやってもうまくいく。
不況時や、緊急事態の時こそ、経営者・リーダーの腕の見せどころである。
そんな状況では、リーダーは、内心は動揺していても、それを部下に見せず、
泰然自若として、「自信満々で悠然としている」ように見せなければならない。
右往左往して、動揺を見せれば、部下の不安と恐怖は増大し、
組織は一気に崩壊に向かう。
◆歴史に学んでも
絶体絶命の窮地を乗り切って、逆転大勝を掴んだ名将の事例・・・織田信長の桶狭間の戦い、
一敗地に塗れた後、九州から再起を図って室町幕府を起こした足利尊氏など・・・
を見ても、彼らは大きなピンチの時に、強い意志を持ち、冷静な状況判断と戦略戦術によって、
勝利を引き寄せている。
中国の台湾侵攻や北朝鮮の暴発の可能性、そして今の暴虐なロシア。
日本を取り巻く世界情勢は危機の時代に大きく変わってきている。
「有事の際、国民国家が守れるか?」の情況になりつつあるのに、
この国のリーダーたちには、大きな危機感も、国民の反発があっても何かを変える強い意志も、
的確な状況判断と戦略戦術を持っているとは思えないのだが・・・。
◆ガイアの夜明けの小池栄子さん
経済の第一線で活躍している経営者が登場する同番組のMCを長年勤めている。
多くの素晴らしい経営者に会ってきて彼らに共通する特性を小池さんは
次のように述べている。
- 1) 好況時でも、強い危機感を常に持っている
- 2) うまく行かなかったことは「自分の責任」
- うまく行ったことは「社員の頑張りのおかげ」と言う
- 3) 一喜一憂しない 肚のすわり(覚悟)がある
- 4) すごく謙虚で、学ぶ姿勢が強い
◆ロシアのウクライナ侵攻の中で、様々なリーダーのありようが浮き彫りに
幹部を力で威圧し、諫言を遠ざけ、聞く耳を持たなくなった裸の王様プーチン。
肚を据えて、国民と戦うゼレンスキー大統領。
NATOの各国の首脳陣たち。
そして、日本のトップリーダー
第3次世界大戦につながりかねない、危機感の中、歴史の現実は、どう動いていくのだろうか?
この国のリーダーのありようを「仰いでその将帥に注目」しても「???」と小生は思っている。
以上