No.13【いつの世も夢多き変化の時代~変革を起こせるリーダーのあり方(その1)~】
2018.10.24
10月7日のNHKスペシャル『マネーワールド~資本主義の未来~
第2集「仕事がなくなる!?」』を見た。
AIやロボット(以下AIと略)の発達が、250年続いてきた「資本主義」の仕組みを
根底から変えようとしている、との趣旨の番組だった。
ご覧になった方も多いだろうが、この番組の内容に触れながら、以下述べてみる。
◆AIによって、人の仕事が奪われつつある事例
1)ドイツの家具職人、マイスターと呼ばれる熟練工。
「こいつ(AIロボット)は相棒だ。こいつの仕事に俺はかなわない。
自分の仕事が制作からデザインに変わった」と。
2)ネット通販の会社。
商品管理ロボットが、約5万点の商品の売れ筋予測。
発注・仕入れ、発送手配までを行い、人は10人しか働いていない。
3)1台で30人分の作業を行うイチゴの収穫ロボット
などなど。
◆「人間の仕事のほとんどは、AIに置き換わるでしょう。」
MIT(マサチューセッツ工科大学)の教授の言葉だ。
「2030年までに現在の人の仕事の最大52%が自動化される。」とも。
そして世界で最もAIが進むのが日本で、先進国の中で最も人件費が高いのがその理由。
製造業だけでなく、ホワイトカラーの仕事もどんどん自動化されると予想される、
とも。
米ラスベガスでは、この夏、サービス業(レストラン・ホテル等)の人が
大規模デモを行った。
ラスベガスでは、既に、バーテンダーロボット、ホテルのデリバリーロボットが
実用化され、20年後、仕事の65%が自動化されるとの予測があるからだ。
ドイツでは、受注、製造、品質管理までを
全てAIが行う工場(スマートファクトリー)の
試みが行われ、これによって、仕事を無くす人のために、
人ができる仕事の再訓練を始めている場面も紹介されていた。
経済学者のケインズは、90年前に、「テクノロジーによる技術的失業」として
予言していたという。
◆将来、無くなる仕事
【将来90%以上無くなる仕事】
レジ、路線バス運転手、一般事務、銀行窓口業務、倉庫作業員、スーパー店員、
ホテル客室係、宅配配達、警備員、機械組立工、プログラマー、税務職員、
行政書士、税理士、機械修理工
【将来60%以上無くなる仕事】
公認会計士、不動産鑑定士、司法書士、証券外交員、ディーラー、翻訳者
◆将来、需要のある仕事は?
「辛くていやな仕事が置き換わるのではない」のだそうだ。
介護職や屋根の雪下ろしなど、一人ひとりケースごとに違う仕事は
置き換わりにくい。一方で、AIが得意な分野は知的な仕事もどんどん置き換わる。
シンプルに需要が拡大するのが、AIのエンジニア、その他に、介護職、デザイナー、
料理人、パティシエ、芸術関係など、創造性が必要で、
人の心にハイタッチで感動を与える仕事は、AIにまねができない。
◆真の人間力が問われる時代
現状、AIが奪いつつある仕事は、標準化できる作業や思考、簡単な判断業務、
情報の認識と対応といった分野のようだ。
番組でも、介護職などは、人それぞれに人生の背景や体質の違い、
気持ちを敏感に察する感性がいるから、置き換わらないだろう、と言っていた。
弊社の研修業界でも、知識やスキルなどの習得系のセミナーは、
Eラーニングに置き換わるなど、淘汰されていった研修会社は数多い。
AIには真似のできない人間としての能力を如何に高めるか?
自らの頭で考える思考力、思索力(哲学する力)、本質を見抜く洞察力、直感力、
上記にもある創造性、人の心を察しての感性豊かなコミュニケーション力、
高度な匠の技、カンコツに代表される体得智、
そして、人材育成力や周囲の人を巻き込むリーダーシップなど、真の「人間力」が
問われる時代と感じている。
これからの企業人教育も、この分野に焦点をおいて、
社員に力を高めてもらう必要がある。
◆あなたとあなたの会社は??
番組に出演していたソフトバンクの孫正義氏は、
「AIの進化の流れは止められない。」
「進化する世の中を悲しいと捉えるか?楽しいと捉えるか?」によって、
「人として、会社として、国家としての未来が決まる」との発言をされていた。
さて、あなたとあなたの会社の現状はどうだろうか?
歴史に学べば、
「変化の時代をチャンスと捉えた、人や企業、国家が生き残り、発展してきた」
と言える。
日本では、明治維新、昭和の敗戦、ドルショック、石油ショック、
バブル崩壊、リーマンショック・・・
世界レベルでは、第1次産業革命から第3次産業革命など
大変化の時代は、従来の多くの仕事や社会の仕組みが淘汰された。
それと同時に新たなビジネスと雇用、そして新商品や新サービスが
次々に生まれてきた。
「いつの世も夢多き変化の時代」。
そうとらえ、AIに置き換えられない仕事の能力を磨く、
AIを活用してのビジネスチャンスをワクワク考えてみてはどうだろうか?