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DMP徒然草

No.89【自然に触れて仕事能力&学習能力を高めよう】

2021.04.07

◆瀬戸内の旅

 

3月の半ば、ふと思い立って、瀬戸内から四国北岸の旅にいった。

尾道から今治につながる「しまなみ海道」をロードバイクで走りたかったこと、

平家の遺産や江戸時代の藩校やお城を回ること、

大塚国際美術館で世界の名画をじっくり鑑賞したかったこと、など

以前から行きたい、やりたいと思っていたことを次々にやろうと決めていることからである。

 

どこに行くか、泊まるかも決めずに心の赴くまま、自分の感性に任せてのきままな旅だった。

計5泊6日の旅になったが、ほとんどの時間は、大自然との対話をしていた。

しまなみ海道の美しい海と瀬戸内の島々が春霞の中に浮かぶ朝夕、

夜空の満天の星、ひときわ目立つオリオン、そして流れ星、

潮騒の音・・・。

 

今までの人生、これからの人生、

自分の生き方・ありよう、経営でなにをしたいか?

もっと遊んで人生を謳歌したいこと、

お客様の会社の改革案の方向性、

大自然にふれ、感性が研ぎ澄まされていくのを身体で感じた。

そんな時の自分のカンは驚くほどあたる。

必要なときに、必要なことが起こる。素敵な人達との出逢いがある・・・。

2月下旬から、コンサル案件が数件、同時に立ち上がりかけ、急に多忙になった。

知らぬ間に頭と心が疲労していた・・・。

そんな心と頭のつまりが、スーッととれ、自然体のエネルギーと理屈の世界では行けない、感性・本質思考が、力まずに自然にフル稼働しているのが身体でわかった。

 

◆自然に触れると集中力が高まる

 

この10〜20年、脳の研究が世界各地の大学を中心に、日進月歩で進んでいる。

 

「普段よりも自然環境が豊かな場所で学習すると、集中力が2倍になる」

 

これは、2018年 米イリノイ大学が、3,000人の児童を対象に調査して発見した。

 

3,000人を2つにグループ分け

  • 1)自然が多い公園で週に1回だけ授業する
  • 2)タブレットや電子黒板のような電子設備の整った教室で週に1回授業する

 

その10週間後の調査結果は・・・

 

「生徒たちの授業ごとの集中度」

・自然の中で授業した子どもは普通のクラスに比べ、集中力が2倍

・教室に戻っても、その後1週間は効果が持続し、高い集中力がキープされた

 

さらに、自然のメリットを得るには週1回だけでも十分。

 

読者の皆さんなら、週末に、自然豊かなところ、河川敷、海岸、森林など近所にある自然に触れる。

次の週の仕事の集中度が高くなる。

 

ということになる。

 

◆「ワーキング・メモリ」の処理能力を高くするには

 

「ワーキング・メモリ」とは、作業や動作に必要な情報を一時的に記憶・処理する能力のこと。

この機能は会話、読み書き、計算など日常のあらゆる判断や行動に関わっているため、機能が弱いと様々な困りごとが生じるとわかっています。

 

米ノースフロリダ大学の研究チームによると

仕事(学習)前に、裸足で芝生や土の上を軽く歩くだけでワーキングメモリは

シューズで走ったグループより、その後のワーキング・メモリのテスト成績が16%も高くなった。

 

◆人間も自然の一部だから

 

上記2つの実験は、人間が本来もっている、生物としての本能的な力を引き出す。

眠っている力の扉をひらく、ということ。

それは、動物としてもっている、自己防衛力や危険予知や回避につながる力なのだろう。

 

スマホをはじめデジタル機器といった人工的なものばかりに触れていると

それらの力が退化してしまう。

 

意識的にデジタルデットストックの時間を持つこと、自然にふれ、その中に自分の心やカラダを溶け込ませる、そんな時間が、仕事の効率をあげ、効果的学習を促進する。

 

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