No.87【 下3日で上を知り・・・ 】
2021.03.24
◆「新入社員の初期教育」は、人材育成の中でも特に重要
社会人としての最初の習慣づくりが、その後の成長を大きく左右するからである。
初期教育のミスを後で取り返すのは至難の業。
ゴルフでも、最初にレッスンプロについて、しっかり基本を身につけた人は、
その後の上達が早い。
しかし、小生のようにはじめから我流で、打ちっぱなしの練習場より、コースで練習した回数の方が多い横着モノは、なかなかスコアが上がらず、まとまらないのは、基本練習の手を抜いたから(汗)。
◆「守・破・離」
その他の習い事、茶道、華道、剣道など、「道」のつく習いごとは、ほぼ例外なく「守・破・離」の教えがあります。
「守・破・離」とは、一言で言えば、「守=基本の習得」こそが重要。
しっかり基本「守」を身に着けないと、「破や離」の応用や自分スタイルの確立や上達は望むべくもない。ということ。
「一流のピアニストでも時々バイエルの練習をする。」
「名横綱(白鵬のような)ほど、鉄砲やしこの稽古を入念にする。」
と言われるように、達人ほど、基本をいつまでも大事にする。
◆『下3日で上を知り、上3年にして下を知る』
古来より、人材育成では、そう言われる。
(中国古典だと思われるが、出典は不明)
上司は部下一人ひとりの資質や可能性を知るのに何年もかかりますが、部下が上司の良し悪しを見抜くのは一瞬だという意味。
(読者の皆さんも体験的にわかるのではないでしょうか?)
「親の後ろ姿を見て子は育つ」=「部下・後輩は上司・先輩の後ろ姿を見て育つ」
新入社員(部下・後輩)は、
「上司・先輩の言うようには育たない」「上司・先輩のやるように育つ」のである。
新入社員教育の効果があがるか否かの本質は、カリキュラムやテキストの精度にあるのではない。(もちろん、それらは重要なのだが)
それらがどんなに良くても、職場配属された後の、上司・先輩の後ろ姿(日々の行動・態度の習慣)こそが、教育効果を左右する一番の感化力である。
◆新入社員受け入れの前に、先輩社員の再教育を!
後輩の指導(受け入れ)前に、先輩・上司としての自分の日々のありようを
客観的に見つめ直す。
・彼らに初期に教える基本の行動・態度が身についているか?(習慣化)
・「自分なら、今の自分の部下になりたいと思うか否か?」
なりたいとすれば、なぜ?(どんな行動・態度の習慣が良いから?)
なりたくないとすれば、なぜ?(どんな行動・態度の習慣が悪いから?)
と振り返ってみる。
会社側(人事など人材育成の担当者)も、新入社員教育の仕方ばかりにエネルギーをかけすぎないで、先輩社員の再教育をしっかり行うことに、もっと時間とエネルギーをかけた方が、全体としては、強い風土に向かうのだが・・・。
先輩教育に時間をかける企業は驚くほど少ないのが実態。
◆教育は「共育」。子育ても同じ。
「教えてやろう」などと傲慢不遜な態度ではダメである。
自分を見つめ直しながら、相手から学ぶべきことも多い。
「あんな素直さ、純真さをずっと忘れてるなあ〜 取り繕うことばかりうまくなっちゃって」
「目標をもってやれ!と言いながら、今の自分の目標ってなんだ?」
「整理整頓が全ての基本って、オマエはどうなの?机の中でも見せられる?」
後輩(新入社員)に指導・助言しながら、
「自分も基本が習慣化しているか?否か?の見直すチャンスを頂いている。」
と捉えてみる。
仮に、思うように育ってくれない(できの悪い?)後輩が職場にいたら、
「あの彼らを一人前にできたらたいしたものだ。
彼が自分の人材育成力を高めるチャンスをくれ、育成力をつけてくれる師匠と思おう。
対人コミュニケーション力やモチベーションを高める力が試されるんだ。」
などと、「上手に受けとめ、自分育てをするチャンス」にしては、
如何だろうか?
終わりに、
「人材育成ができない人は、健全な子育てもできない」
これは、幾多の体験と実例から、まず間違いがない。
それは、この法則が子育てにも同様に当てはまるからである。 以上