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DMP徒然草

No.80【 諦めから始まる希望への道 】

2021.01.27

◆諦める

「とても見込みがない、しかたがないと思い切る。断念する。」との意味。

 

・人は必ず死ぬ

・天変地異、大自然の営みの前に人間は無力である

・諸行無常、生々流転、形あるものは必ず滅す

・人生、思うようにならないことがほとんど

 

いずれも真理であろう。

 

40代までの自分を振り返ってみると、この真理を受け入れようとせず、自分の力技で、

なんとか変えようと力を尽くして抵抗してきた。

流れが激しいのに、上流に向かって、舟を進めようとしてきたことも多い。

あげく、疲れ果てることが多かった・・・。(その結果、何度か鬱になりました・・・笑)

 

◆諦めるとは、

「事実を客観的に、冷静に、現状認識すること」

と小生は捉えている。

 

「人は必ず死ぬ」

「コロナも自然現象で完全にコントロールはできない」

も、感情的には受け入れたくないが、事実である。

 

会社の経営も同様である。「我が社は滅亡する」

どんな会社もいつかは、死ぬ時期(倒産)を迎える。

 

日々のマネジメントでも、我が社や部門の現状、現場での現実などを、

客観的に数字やデータ、ファクト(事実)で捉えていないところからの計画や改善は、

「絵に描いた餅」で、大概はうまくいかない・・・。

 

◆「理想・情熱」は、

「科学性(数字・ロジック・エビデンス(根拠)」の裏付けがあって、実現に向かう。

 

そうかと言って、科学性(数字・ロジック・エビデンス(根拠))ばかり先行で考えると、

多くの場合「できない」「無理です」との答えになる。

 

なぜなら、「新たなこと」=「今までに体験したことがないこと」であるから、

まだ起こっていない未来のことは、推測はできるが、活きたデータはないからだ。

そこに「失敗したくない」という自己防衛のバイアスがかかる。

従って、「できない」「無理です」となる。

特に、現場に近いほど、できなかった失敗体験、忙しさ、「面倒だなあ」等の気持ちから、

この答えが多くなる。

 

 

◆「理想・情熱(想い・感情)」VS「科学性(事実・根拠)」

 

このバランスが非常に難しい!

 

世の中にない新たなことは、「想い」から始まっている。

 

・産業革命は、もっと楽に働き、資本を増やせないか?との思いが進展させた

・世界の人ともっとつながりたい、情報伝達を早くし、共有したいとの想いが、

 インターネットをこれほど急速に発達させた

・おそらく100年ぐらい前に、「月に行ってみたい」「宇宙旅行をしてみたい」と

 思った人がいたから現実になっている

・イチローは、若き頃にメジャーリーグで活躍したいと夢を描いたから、そうなった

 

スタート時にそれらには、根拠はなかった。まず、「強い想いが先」だった。

 

◆ お釈迦さまの悟り

 

お釈迦様は、今から約2,500年前の人。王国の王子の身分を捨てて、悟りを求めて修行の道に。

飲まず、食わず、身体の痛みを伴う苦行など、命懸けの修行をしても、悟りが得られない。

 

ある日、菩提樹の下で数日の瞑想に入る。

瞑想を解いたある朝、スジャータという娘がくれたヤギのお乳を飲んで、その温かなミルクの

あまりの美味しさをカラダで味わい、ふと悟りに至る。

 

「中庸(ほどほど)」。

 

そして、人生は苦界であり、「四苦(生・老・病・死)八苦」からは誰も逃れられない。

その諦めから、始めればよいと掴んだ。

 

◆「諦観」を持って”今”を希望に向かって生きる

 

・コロナも自然の一部。自然災害である。収束は完全には予想できない

・南海トラフ大地震のような大きな地震は、いつかは起こる

・私はいつか必ず死ぬ(形あるものは、必ず滅す)

・宇宙は混沌(カオス)であり、今の科学理論で説明できないことだらけ

・人の世は理不尽・矛盾しており、正義が悪に負けることも多い

・部下や子供は、人は自分が思うように育ってはくれないし、動いてもくれない

 

そんな「諦めからスタート」する。

そして、今できること(対策)を精一杯やり、あとは、流れに任せるしかない。

 

もし、読者の中に、コロナ禍で、今までの仕事や生活が維持できない人がいらっしゃったら、

以下のように考えてもいいのではないかと思う。

 

・今は一度撤退する。逃げたらいい。休んだらいい

・貧乏生活をすることを受け入れてみる

・お金ができるだけかからない田舎に居を移し、農家のお手伝いでもしながら、

 ご飯とお味噌汁だけの生活をしてみるのもいい

・努力してもダメなら、今は生活保護を受ける。誰かのお世話になって暮らしたらいい

・どうせ、裸で生まれて、裸で死んでいくのが人なのだから

 

『生きていたら、なんとかなる』  

 

明石家さんまさんが言うように、『生きてるだけで○(まる)儲け(いまる)』なのだ。

 

全ては変わる、諸行無常。なのに、「失うまいとする」「変わることに抵抗する」から苦しくなるのだ。

 

今の日本、仮に誰かのお世話になってでも、生きる覚悟を決めたら、なんとか生きられる。

それが、惨めだろうとも。

状況が変わったら、また頑張ってご恩返しをしたらいいだけのこと。

 

人の世は、思うようにならないことが「あたりまえ」。

そうだからこそ、少しだけでも願ったことが実現したら、「おかげさま」「ありがとう」と、

感謝をいっぱいしたらいい。

 

所詮、世の中の大河の流れには逆らえないし、宇宙からみたら、自分など塵芥のような存在。

流されるしかない。

けれど、ただ流されるだけでもつまらない。

 

「夢・ビジョン・目標」を胸に熱く持って、流れていく。

報われないかもしれないけれど、せいぜい努力してみる。

 

その目標地点を目指して、人生の大河を流れる。でも小舟のオールは、自分で漕ぐ。

 

結果、目標とする着岸点の近くか、おおよそその方向の岸にたどり着けたなら、十分幸せ!

 

もしも、目標と全く違った接岸点についても、

自分なりに頑張ってオール漕いだプロセスを誇れるなら、それもステキな人生ではないだろうか?

 

 

◆マハトマ・ガンジーの言葉

・「未来は『今、我々が何を為すか』にかかっている」

・「目的を見つけよ。手段はあとからついてくる」

 

『コロナ禍の“今”、あなたが、今日為すことが、あなたの未来を創る』

 

「今、できないこと」「心配しても仕方がないこと」は、考えてもしょうがない。

そして、今日1日を「どんな気分で、どんな行動・態度を選択して生きるか?」を

意識的に選択する。

明日死ぬかもしれない儚い人生。

 

いろんな思うようにならないことがあっても、せっかくなら、今日という日をできるだけ

「感謝と素直な心で、明るく、笑顔で、前向きに、生きる」ことを選択しては如何だろうか?

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