コラム『DMP徒然草』 書籍情報のご案内
DMP徒然草

No.44 【全てを相対的に見てみる】

2019.06.19

◆タオ ~道~

 

加島祥造氏の著書『タオ 老子』(筑摩書房)。

悩んだ時、何度かこの本を読み返し、救われたように感じたことがある。

難しい言葉で語られる「老子」の思想が、加島さんの訳で、

すごく身近で易しいものとして、自然に心に響いてくる。

 

「タオ」とは「道」のことで、中国語では、tao。

「老子の教える道」との意味に使われるようだ。

 

この本の一節から・・・

 

~「汚い」があるから「美しい」が在るのさ~

 

天と地が生まれて

物に名がついたわけだが、

名とは物の表っ面(うわっつら)にただ張りつくものだ。

 

美しいと汚いは、別々にあるんじゃあない。

美しいものは、汚いものがあるから美しいと呼ばれるんだ。

 

善悪だってそうさ。

善は、悪があるから、善と呼ばれるんだ。

悪の在るおかげで善が在るってわけさ。

 

同じように、ものが「在る」のも、

「無い」があるこそありうるんでね。

お互いに片一方だけじゃあ、在りえないんだ。

(~以下 略~)

       出典:前述『タオ 老子』

 

 

◆バランス感覚

 

苦しくなった時、逆に有頂天になりかけた時。

それを全く逆の視点から捉えて見ることが、大事じゃないだろうか。

そうすると自分を冷静に、客観的に見つめることができる。

 

お互いが正しいと信じた時ほど、相手も正しさを主張して、ケンカになるように。

(いにしえから続く、戦争の背景には、常に正義の主張があったように。)

 

ピンチこそ、チャンスと言われるように。

 

「苦」があるからこそ、「楽」が楽しめるように。

 

何かを選ぶとは、何かを捨てることであるように。

 

モノが豊かな分だけ、心を見直す必要があるように。

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