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DMP徒然草

No.40【いつもと違う環境に身を置いてみる】

2019.05.22

◆脱自閉

 

ある大手メーカーの役員Yさんから以前伺った話。

 

相対性理論で有名なアインシュタイン。

ユダヤ人である彼は、ご承知のようにノーベル賞受賞者。

彼のようにユダヤ人で理工系ノーベル賞を受賞した人の国民総数に対する比率は、

他の国のそれと比べると、数百倍になるのだそうだ。

しかし、それらは、イスラエル建国以前の数値。

一方で、イスラエル建国以後は、1人も理工系の受賞者はいないのだそうだ。

 

その原因の1つとして、

「建国前は、多くのユダヤ人が異文化、異国の環境に身を置かざるを得ず、

その分、様々な刺激があった。

しかし、イスラエル建国後、同質の人が集まり、異文化にふれなくなったことが、

才能を開花させなかった大きな要因と思われるのです。」

とのお話。

 

そして、Yさん曰く「他(他社の環境)があるからこそ、変われるのです」。

このYさん担当の各工場の変革へのキーワードの1つが「脱自閉」。

「ともすると、我が社の常識が、他社での、あるいは、日本や世界での

非常識であることさえある。

社員が我が社でやっていることが当たり前、と思ってしまう意識が

変革を遅らせる。

そうした『危機感がないこと』こそが、『大きな危機感』なのです。」

 

 

◆遺伝子は環境によってONにもOFFにもなる

 

遺伝子研究の権威、筑波大学名誉教授の村上和雄先生も、

その著『生命(いのち)の暗号(1)』の中で

 

・遺伝と環境の相互作用によって「人は人になる」と言える。

・うだつのあがらない人が環境を変えただけで、

 人が変わったように能力を発揮しだした例は珍しくない。

 

として、ご自身も日本では平凡な研究員だったが、

アメリカに渡り研究環境を変えたら、

自分でも驚くほどのやる気人間に変身し、

学問的にも業績を上げられた。

との体験談を披露していらっしゃる。

 

 

◆自ら違う環境に身を置いてみる

 

・職場を離れて、仕事や自分の人生や自分自身と向き合う時間を持ってみる。

・普段ふれあうことが少ない、業種も規模も様々な他社の人と交流してみる。

・意識的に毎日違った通勤経路や、散歩の道を通るようにする。

 

などの日常とは違った環境から来る刺激が、

今まで発現しなかったあなたの力を引き出す可能性を高める。

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