No.31【やってみせ、言って聞かせて・・・】
2019.03.06
◆DNAの伝承
人間は遺伝子DNAの働きによって、情報を子孫に伝達する。
企業で、次世代を担う人材を育てることは、
我が社のDNA「自社の歴史や文化、さらに強みといった独自能力」
などを伝達していくという側面がある。
新入社員教育は、仕事の基本を教え、早期戦力化を行う側面の他に、
この新たなDNA伝承者候補を育てる側面もある。
その意味で、初期教育は非常に重要であり、
「初期教育の質が、その後の成長や実務教育の歩留まりを大きく左右する」
ことは、弊社の体験からも実感する。
◆「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」
旧日本海軍連合艦隊・山本五十六司令長官の有名な言葉。
人を育てる要諦がシンプルに表されている。
・「やってみせ」… リーディング(率先垂範)
まず、先頭に立って先輩が模範を示す。
自分が実際にできるということを具体的な行動で示さなければ、
新人に信用されない。
・「言って聞かせて」… ティーチング(教える)
その仕事のやり方・仕方の目的、理由、重要性などをわかりやすく説明する。
また、どのようにすれば上手にできるか、コツやノウハウを教える。
・「させてみて」… トレーニング&ラーニング(体験学習)
聞いただけでは、人は実際にはできないものである。
だから体験(経験)させる。
失敗したら、何故できなかったかを反省(原因を分析)させ、
改善策を考えさせて、報告させる。そして、再挑戦させる。
また、できた場合は、どこが良かったかのポイントを言わせる。
さらに、どうすれば もっと上手に、あるいは効率的にできるかを
考えさせ、報告させ、再挑戦させる。
このようにしてやれば、成功パターンが、次第に血肉化していく。
・「ほめてやらねば、人は動かじ」… モチベーション(動機付け)
言われたこと、又は、自ら考えた改善策をキチンと実践できたら、
すかさずほめること。
ほめられることは、「心の栄養剤」。やる気を引き出す大きな要因。
◆「子は親の後ろ姿を見て育つ」
多くの企業は、新入社員教育で、
基本的な考え方や行動習慣については熱心に指導する。
しかし、数ヶ月すると、「せっかく教育をしたのに・・・」
となってしまう事例も多い。
その分岐点となるのが、
上司・先輩社員のあり方、日々の行動である。
上司・先輩社員が、基本を自ら実践していれば、
新入社員にも習慣化されていく。
逆に、悪い見本を示せば、すぐにそれが身についてしまう。
最高の教育は、「上司・先輩社員の率先垂範による感化教育」
「子は親の後ろ姿を見て育つ」ように、
「先輩の後ろ姿を見て後輩は育つ」のである。
新入社員を受け入れる前に、
今一度、先輩社員の基本の徹底度合い、受け皿のありようを
見直してみては如何でしょうか?