No.97【残存効果を狙う〜インターリービング学習法~】
2021.07.07
◆クラス解散のまま終了
6名の少人数のクラス、そのうち、女性が3名。年齢は若く30代前半の方ばかり。
素直で皆のお人柄も良く、第3日にして、大変いい感じの雰囲気だった。
ところが、第4日の午前中にクラス解散の宣言をすることになった。
理由は、皆さんを信頼して第3日の夜に出したある課題について、お互いに遠慮しあい、仲良しクラブ的な取り組みでお茶を濁したことが判明したからだった。
彼らから、「もう一度進行して欲しい」との申し出はあったが、私は応じなかった。
なぜなら、それまでに、「ホントの自分に嘘をつき、結果、私の信頼を裏切る行為をこの前に2回も続け、都合3回目のウソをつき、信頼を損なう行為を重ねたからである。
その後、それでも会場に残って勉強したいと言う彼らに、学びの取り組みのヒントだけを差し上げ、私は進行しなかった。
彼らは、最終日まで、仲間で相談しながら自主的に学び、金曜日のお昼に終了した。
◆なぜそんな判断を?!
結論は、残存効果を狙ったものだった。
長年の体験から、4泊5日の宿泊研修で「完全燃焼。やりきった!」といった受講生が、帰社後、必ずしも仕事の成果にDMPの学びを活かしているか?というとそうとも言えないとケースも多いと感じるからだ。
むしろ、逆に、自分の成長課題を感じながらも、完全燃焼できず、スッキリしないまま修了した方の方が、帰社後、実践の中で気づきを深め、結果、仕事の成果につなげているケースの方が多いようにも感じている。
今回は、大変いいクラスだっただけに、更に気づきを深め、仕事の実践に活かして頂くために、「気づきの残存効果が長くでること」を狙い、あえて、中途半端にクラスを終了したのだった。
◆「インターリービング学習法」
「インターリービング学習法」とは、「集中学習(ブロック学習)」の対極に位置する学習方法で、具体的には、「学習したい項目の間に何か別の学習を挟み込む」という方法である。
受験勉強で言えば、
英単語30分 → 世界史30分 → 休憩20分 → 2次関数30分
といったように。
南フロリダ大学の研究では、ブロック学習とインターリーブ学習の効果の比較実験を行った。
この実験では126人の学生を対象に、ピタゴラスの定理を用いて解くことのできる数学の問題12問を解いてもらった。
そして、
グループ1:ブロック学習で解法を学ぶ
グループ2:インターリービング学習で解法を学ぶ
に分かれ、解法を学んだ1日後と30日後にテストを実施。
結果は
1日後でも30日後でもインターリービング学習で学んだグループの方が圧勝という結果になった。
また、フランスのリヨン大学の調査によると、インターリービング学習で学んだ生徒は、普通に勉強した学生より、単語テストの成績が2倍も良くなった。
◆人間の脳は、「区切り」や「ひと段落」といった現象に弱い傾向がある。
お正月を迎えただけで、去年の問題がリセットされたような気持ちになってしまった体験をお持ちの方も多いのではないだろうか?
これは、脳の上記のクセによるもの。
だから、仕事でもあえて中途半端なところで止めて、時間をおいてまた続きからした方が高い効果が得られる。
◇仕事・勉強を中途半端なところでやめて、別のことをする(休む・眠る)。
◇次は、止めたところから続きの仕事(勉強)をする。
◇忘れることの不安を回避して、安心してスッキリ休憩できるように、メモやTO DOリストを活用する。
小生の実践例をご紹介しておく
・メールの宛先と件名だけ書いて、下書き保存して、翌日その続きを書いて送信する。
・本メルマガの原稿も、タイトル、コンテンツのキーワードだけ書いて、一晩眠る。
・提案書や研修カリキュラムで行き詰まったら、そこで止めて、あまり頭を使わなくてもできる資料整理をしたり、散歩や軽い運動をしたりする。
◆部下への指導にも活かす。
全てを指導(教える)してしまわないで、中途半端なところまで教え、後は迷わせたり、考えさせたりする。
あるいは、日や時間を置いて、続きを少しずつ教えていく。
その方が、脳のこのクセを活かして、定着も効果的で、自ら考える部下が育ちやすい。
◆今回のクラスの皆さんへ
せっかくDMPを受講したのに、自分たちの至らなさで、修了できなかった。
その悔しさと自分への甘えを断ち切ることの難しさ、一歩踏み出す行動できなかった勇気のなさ、なにより、社長や会社の仲間への申し訳なさ・・・などを胸に、仕事の実践の中で成果を出すことで、この体験を活かして頂きたい、そう強く願う。
「DMPを修了できなかったからこそ、今がある」
と思えるような仕事や日々の人生でありますように!
以上