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DMP徒然草

No.92【K社長の読書感想文~トップの後ろ姿が組織を変える~】

2021.05.12

この3月から、K社のコンサルティングの仕事をさせて頂いている。

創業から10年で売上は10倍。その業界では注目される企業の一つにまでなった。

 

K社長のエネルギッシュな行動力、人に好かれる魅力的な人柄を強みに急成長された会社。

一方で、この急成長に、組織機能と人の育成が追いついていない状態になっていた。

 

何回かのヒヤリングと現場視察からわかってきたことは、

・4Sをはじめ、基本習慣も定着していない。

・現場にも「ムリ・ムダ・ムラ」が多く、人・モノ・お金の流れも悪い。

・結果は、決算諸表にも明確に表れ、財務面でもかなりムリをして厳しい状態。適正利益がでる体質になっていない。

など。

 

基礎工事をしっかりしないまま、3階4階を増築し、外装を見栄え良くしてきたような状態になってしまっていた。

 

K社の立て直しの最優先かつ重要課題は、K社長の意識と行動習慣の変革が不可欠と判断した。

生産者の高い現場改革と同時並行で、K社長には月1冊の「課題図書と読書感想文」に取り組んで頂くことにした。

以下は、第1回の読書感想文をそのまま引用させて頂いたものである。

 

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早矢仕さんから決算書を分析して頂き、真っ先に読みなさいと推薦していただいた

上杉鷹山、『人を活かし、人を動かす』を読む機会を与えて頂き、大変有り難い機会となりました。

上杉鷹山という名前すら知らなかった自分が、初めてこの本を読み、自身の原因により引き起こした今の会社の現状と、鷹山が苦労して立てなおしてきた数々の場面を、照らし合わせることで、多くの気づきを得る機会となりました。

「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」

幼少9歳にして、多難の待ち受ける上杉家の養子縁組により、藩主となる教育を受け、15歳にして3万石から5倍の15万石で名家である上杉家米沢藩に身を置くこととなりました。

しかし、藩の財政の実態は多額の借金を背負う状況で、財政破綻寸前の状態での藩主となり、2年後米沢入りして、17歳の若さで自身の生きる道を、民の父母になると決意、その際には、上杉謙信を祀る春日社に、自身の弱さを戒める誓文を奉納しました。

その後、藩の実情をあからさまにはっきりと伝え、自ら木綿の衣服を身に纏い、一汁一菜を実行しての大倹令により、自身の背中を諸士、領民に見せ、様々な苦難にぶつかりながらも、自ら鍬を持ち、農民を敬う姿勢と徹底した誠実と慈愛を信念に持つ実行力に、多くの協力者を得て、晩年には藩の財政を黒字化し、豊かな心を持つ民を育て晩年70歳で国中の領民が惜しむ思いを持つ中で生涯を閉じました。「必ず消えることのない火を見出すことが出来る」、存亡がかかる状況において、先ずリーダーが決意を決める。不可能と思われる状況下でも、絶対に諦めないという強い意志に感銘しました。

一汁一菜、木綿の服を藩主自ら実行し、真剣に訴え続ける。急がなければならない状況下でも、決して焦らず、徹底した誠意で家臣にも心を通わせ、一人ひとりを改革の火種とするには、実際には、文書では伝えきれないほどの強靭な意志を持って実行しなければなし得ることは出来なかったと思いました。

「天道を敬うことを教え申すべき」

「天地に仕えることは、第一に人の道なのである」と、

父母への孝行、家内親類親しむこと、百姓家業について、義務であることを確信持って諸士、領民に伝え、必ず実現できると、将来を語り続けていくには、成り行き財政から、長期経営政策へと移行していく過程において、苦労も伴う計画書が作成されたことと思います。

 

今の苦労を安堵な将来を築く為の難儀と思えるように、財政を見える化した上での長期計画が諸士、領民一体となって巻き込み実行されていくこと以外に、実現の道はないと実感しました。

自らの仕切り料二百九両から五、六十両を提供し、助成金に当て、功労者への付加価値創造による賞揚を実践することは、誠意の発露であると民に確信を持たせた本質的な要因だと思いました。

大損失を被る藩邸の火災、飢饉、叛旗を翻した7人の重臣の処刑、処罰、幕府からのお手伝い御普請を想定した早期隠居、家督承継と次から次へと立ちはだかる難を乗り越え、改革を進めていく様は、常に民の安堵の将来実現という愛が支えたのだと思います。

教育は、小手先の学問ではなく、実際と学問が遊離してはならない、実践教育を重んじ、動乱の原因や、指導者はどうやって成功、失敗したかなど、一心に勉強している様は、神からの役割として資質を持っていたのだと思いました。人間への愛に基づく肉親愛、夫婦愛、孝養の心によって築き上げられた思いは、興譲館を設立することで、広く伝えることを天命と確信していたのだと思いました。

 

謙虚な心を持つこと、すなわち「謙虚さとは、自分を常に未熟な者として、その至らなさを反省しつつ、真撃にその道に励む」という生涯を通じて守り通した道を、「行いを正す」、「実行に移さなければ役に立たない」ことを基本方針にし、人の為に尽くす、国の為に尽くす教育を行っていくことで、後世への承継を実践していたのだと思います。

 

この本を読んで、先ずは自身の在り方を見直す絶好の機会となりました。

「人を動かす」前に、自身の考え方、能力、判断力がいかに浅はかであったか、深く考えるほど見えてきました。

実際に自分の会社で考えて見ると、現場の状況確認から、問題解決に向けての流れを見直してみると、現場は、表面的に見える部分しか把握できていなく、奥に隠れている問題の原因となる、現実、現場、現物、そこに従事する人を見ていない段階で、浅はかな判断を行なってしまい、本質的な要因が掴めていない。

だから、問題解決に直結する原因を改善する為の的確な指示が出せず、社員さんが身動き取れない状態であったことに気づかされました。

 

何より、鷹山は命がけであったのに対して、自分は本気度が欠けていおり、大検令とは程遠い、コスト意識どころか、大切なお金を自ら無駄に出費してしまう事が多く、現場に隠れている様々なコストも見出せていなかった事に気付かされました。

 

即刻現状の自分に「さようなら」をしなければなりません。

社員への求心力を求めることは、その後の段階だと深く反省をしています。

自身が変化していくことを、背中で感じさせられるように、毎日の習慣を何で変えて見せるかを直ぐに決めて、実行する必要があります。

 

天からいただいた役割をもう一度改めて見直し、「お客様の為にお役に立てるには」、「社員さんが、将来豊かになるために」、未来を実感できるビジョンを、はっきりと掲げてあげることが、何より大切だと強く感じました。

 

その為には教育により、社員さんと共に実践的な学びの場を持ち、従業員一人ひとりが、自主性を持って行動出来る組織づくりを方針とします。社会に必要とされ、お客様に喜んで頂けるこの業界で日本一の会社を作る決意を固めます。

・ご先祖に感謝すること

・家族を大切にすること

・いかなる時にも謙虚であること

・社員さんの声、お客様の声をよく聴くこと

・倹約すること・生涯学び続けること

・いかなる状況下でもチャレンジ精神は怠らない

・会社は、絶対に赤字を出さないこと

・社員さんの夢を叶えること、豊かな将来を与えること

・会社は、社会に貢献できていること・自身が豊かで幸せになること

 

 

【小生の所見】

鷹山の感想文、拝読。

 

思った以上に、よく書けていますよ。

 

「徹底した誠意」

「一人ひとりを改革の火種とするには・・・強靭な意志」

「天地に仕えることは、第一に人の道・・・」

など、大事なフレーズを掴んでいます。

 

ちなみに、天地=神のことです。

 

「トップ=神から選ばれた特別な存在」なのです。

 

だから、会社の目指す方向、組織・人事、お金の使い方、時間の使い方の決定の自由が任される。

したがって、それらを我欲のために使うと罰=経営の悪化という試練が与えられるのです。(利己)

 

逆に、それらを社員の為、お客様のため、社会のため、=(利他)に使うと、よき運に恵まれます。

 

「謙虚さとは自分を常に未熟なものとして・・・」

そこをスタートに、Kさん自身が、日々学び続け、実践に転化し続けることです。

 

「学んだことのただ一つの証は私が変わること」

 

何を知っているか?学んだか?でなく、何を実践し、習慣化しているか?なのです。

 

「日々の自分のありよう=後ろ姿の実践」なくして、部下の教育も行動変化への感化も成立しないことを肝に銘じて下さいね。

 

社員からの求心力を求めてはいけません。

 

Kさんが、己を厳しく律し、時間とお金を大事に使い、現場で汗する社員さんを心から思い、慈愛を示せば、自然と求心力は働くものです。

 

決して、自分から、人気取りにいっては、いけません。 

 

昨日の午前中の厳しい指摘、上手に受けとめて下さり、有難うございます。

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K社長なら、必ず変革は成功する。

そう信じている。

天空から全体を俯瞰する「鷹の目」と細部を見逃さない「トンボの目」でK社を見ながら、誠意と情熱を胸にお手伝いさせて頂く決意である。

 

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